エアロハウスの特徴の一つに、好きな基礎や脚柱を選べるというものがあります。
エアロハウスは、一般の木造住宅とはまったく異なる基礎の考え方をしています。従来の木造住宅では、平らにした土の上にコンクリートの基礎を作り、その上に木の部材を組み立てますが、エアロハウスでは構造体がそれだけで独立できる強度を持っているため、建物全面をカバーするコンクリートの基礎は必要ありません。

 そのためエアロハウスでは高床の水害に強い家を比較的簡単に実現することができますので、浸水の予想されるような地域での建築にも適していると言えるでしょう。

一般的なエアロハウス

 ここにご紹介するには一般的なエアロハウスですが、床下天井高さを0.6m程度を確保しています。床下の構造は鉄骨造とコンクリート造の場合があり、用途、敷地条件、施工方法などで使い分けます。これらのエアロハウスは水害を防ぐことを目的に建てられた訳ではありませんが、結果的に一般の工法の住宅よりも水害に強い家になっていると言えるでしょう。万が一浸水した場合のメンテナンスや床下へのアクセスも比較的に容易です。

1.5階の家

エアロハウスの平屋住宅を高床にした実例です。
床下天井高さを1.4m以下にすることで平屋扱いになり確認申請がスムーズに進みます。
高床でありながら「1.5階」にすることで、適度に地面から離れ上り下りの負担がありません。コンクリート造の基礎部分は納戸等として利用できます。

■栃木県足利市のエアロハウス

延床面積30坪の3LDK、リビングは30帖あります。

■群馬県みどり市のエアロハウス

延床面積22坪のコンパクトな2LDKです。
雑誌カーサ・ブルータス(2013.Feb)で紹介されました。

ピロティの家

これは建物下を駐車場などの用途にするため床下天井高さ2.2m以上とした2階建てのエアロハウスの実例です。
1階は耐震性を担保しつつ開放性を確保するため、特殊な構造の鉄骨造にしています。
その特殊なデザインの鉄骨造部分が、結果的に水害の際には水の抵抗を受けない構造になっています。

■神奈川県三浦市のエアロハウス

延床面積17坪の別荘です。
ヨットハーバーに面して建っています。高潮で台風の際にはしばしば1階は冠水します。

■あきる野市のエアロハウス

延床面積17坪の住宅です。
ガーデニングのため1階の柱を細い材で構成し日陰を作らないようにしています。

■神奈川県箱根町のエアロハウス

樹木越しに山の眺望を確保するため床下天井高さ6mとった別荘です。

洪水を前提に設計した高床のエアロハウス

特殊な例ですが、最初から洪水を前提に建てられたエアロハウスも存在します。
これは沖縄北部のジャングルの中、年に数回増水する川の際に建築された宿泊施設です。
1階の構造は「あきる野市」と同様無垢の細い部材で構成し水の抵抗を極力受けないように設計しています。 

 
増水時の様子


サントリーBOSSのCMに使われました